中国上回る16億人のイスラム市場、日本ブランド売り込めるか

 FSに入った。日本という国家ブランドをイスラム市場(ムスリム)に売り込むに当たってのコンサルティング事業。単なるハラール認証というものではなく、イスラム市場の戦略やマーケティング、そして現地経営にあたっての企業運営、特にムスリム従業員の教育、経営者の育成・・・。日本とイスラム市場の接点の拡大に価値を提供する。

 久しぶりに、ゲストを迎えて自宅で4時間以上に及ぶ会食。Step1 Malaysiaの中村社長、マレーシア在住20年以上というベテランの意見を聞く。なんと、「私も凄くやりたかったことだ」と目が輝く。素晴らしい。私はここ半年考えていたことを一つ一つ中村氏に伝え、じっくり話し込んだ。有志をこれから集め、「イスラム市場勉強会」を立ち上げていこうと考えている。
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 イスラム教徒は世界で約16~19億人おり、世界人口の25%にあたる。つまり世界では4人に1人以上がムスリムだ。しかも中国市場と違って中東、アジア、アフリカなど地球上のあちこちに分布している。特定の国に抱えやすいカントリーリスクという問題は存在しない。まさにグローバル規模の市場で共通性や拡張性に富んでいる。

 宗教でなぜ、キリスト教市場という特定の概念がなく、イスラム市場になるかというと、それはこの二大宗教に本質的な違いがあるからだ。私の定義では、キリスト教は生活の中の宗教であるのに対して、イスラム教は宗教の中の生活である。イスラム教はシャリーアという独自の法形態を形成し、ウンマという共同体のなかで道徳倫理面のみならず、ほぼ全生活が規範化されている。言い換えれば、多様な価値観やライフスタイルに富んだキリスト教信者と違って、イスラム教の場合むしろある意味での単一性が見られる。

 いま、私が住んでいるマレーシアは、6割以上の国民がイスラム教徒。隣のインドネシアでは9割以上になる。まさに東南アジア・イスラム圏の中心に位置するという地政学的な恩恵を無駄にせず、これまで蓄積してきたノウハウやスキル、哲学を生かし、中国とまったく異なる市場での可能性を見い出せないかと、フロンティアに挑む気持ちに駆られた。

 先日のインドネシア視察に続き、10月はトルコへ視察出張する。トルコは周知のとおりもっとも戒律の緩いイスラム国で、独自のイスラム市場を抱えている。さらに今後、ドバイやヨルダン、オマーンといった中東国、さらにもっとも戒律の厳しいサウジアラビアも勉強で回りたいと考える。

 中国業務の絞り込みで出来た余裕を、このイスラム市場の可能性にかけてみよう。

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