石油売れなくなったときの危機脱出、中東湾岸4か国視察へ

 年末年始の休暇。クウェート、バーレーン、オマーンとアラブ首長国連邦(UAE)という中東湾岸4か国の視察が決まった。

 原油安が続く中、中東湾岸の産油国はいよいよ財政の悪化と向き合う局面に入った。どんな金持ちでも収入の稼ぎに問題が生じれば、資産を食い潰すことになる。個人なら死ぬまで食い潰せる資産があれば問題ないが、国家は違う。死はないから大変なのだ。

 今年3月にクウェートは、10%の企業収益税と5%の付加価値税の課税などを含む経済改革計画を発表した(2016年3月15日付アル・ハヤート紙)。クウェートといえば、ほとんどの企業収益に対し無税で、個人にも税は課されていない。突然の課税への政策転換は何を意味するか。

 石油収入以外の収入源の確保と非石油収入の増収、財政赤字削減がもはや急務となった。政府の介入を減らし、経済活動における民間セクターの比重の引上げなどの施策が不可欠だ。

 クウェートだけではない。アラブ首長国連邦(UAE)は、2018年に5%の付加価値税を導入する準備に入った。バーレーンもガス料金や医療保険料を値上げするなど、各国は相次いで財政引き締め策を導入し始めた。

 湾岸の産油諸国は一貫して、国民に税金免除や補助金給付、公共サービスなどを大盤振る舞いし、政権への支持を得てきた。財政緊縮策によって補助金の削減や課税の強化に踏み切れば、国民の不満が広がり、経済問題が政治問題へと発展するのが必至だ。

 こういう状況のなか、湾岸諸国はこれから、どのようにサバイバルしていくか、問題解決の糸口はどこにあるか。中東問題に限らず、中核的リソースの変異に伴う危機からの脱出という一般命題に、少しでもヒントや答えを見つければと考えている。これが私の視察課題である。

 本当は、サウジアラビアを中心に見て回りたいのだが、個人ではビザが取れないようで(それだけ閉鎖的な国である)、今回はサウジを割愛し、アクセスしやすい湾岸4か国に絞り込んだ。

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