予約が登録されていない!ホテル担当者が「没問題」と言ったのに

 週末は、会員無料宿泊券があるので、上海ヒルトンホテルでパソコン仕事をしながら、ゆっくり過ごすことにしました。

 昼過ぎ、チェックインすると、「お名前での予約がされていない」と、フロントの女性スタッフが一点張り、こちらが中国語で話しているのに、回答は英語でした。嫌味っぽい。あれこれ、待たされること30分、ようやくチェックインできました。
コンサルティングの職業柄、何でも徹底追求します。問題の所在は概ね判明されました。

<ホテル側の過失所在>

 (1) 無料宿泊券の使用は、通常の予約係の担当ではなく、別の会員サービス部門経由になっているため、ホテル内部の連携に問題が生じ、予約が正確にフロントに行っていないらしい。
 (2) 会員サービス部門に調べると、それでも予約が適正に登録されていないのは、私の名前が間違って入力されていたためだ。
「姓 TACHIBANA 名 SATOSHI 」が、「「姓 TACHI 名 BANA 」になっていた。
 (3) フロント係の官僚的な対応と上記両部門間の責任のなすりつけ。

<予約をした当社事務局担当スタッフの過失所在>

 (1) 電話予約の際、ホテル側の受付担当者の名前を聞いていない。
 (2) 予約番号も記録していなければ、予約確認書の送付(FAXまたは電子メール)も求めていない。
 (3) 当然、私の名前の入力ミスも発見されない。
 (4) 当社事務局とホテル予約担当者の「言った」、「言っていない」の泥沼合戦となる。

 上海ヒルトンホテルは、中国人オーナーに譲渡してから、サービス品質が幾分落ちました。それはさておいて、当社社内のホテル予約事務手続きの標準化・文書化に早速着手します。外地のお客様のホテル代理予約もよくしますので、このような事態では、お客様に多大な迷惑がかかります。

<当社のホテル予約標準手続き>

 ① 当社スタッフがホテル予約・担当部門・担当者に電話、メールして予約する。
     ↓
 ② ホテル担当者の氏名(フルネーム)、日時を記録する。
     ↓
 ③ 予約確認書をホテル側からFAXまたはEメール送付してもらう。
     ↓
 ④ 当社スタッフが予約確認書の記載内容(宿泊者氏名、人数、部屋タイプ、禁煙・喫煙、チェックイン・チェックアウト日時、料金、サービス料・税額、朝食の有無、その他条件)をチェックし、正確性を確保する。
     ↓
 ⑤ 当社スタッフが宿泊初日午前までに、宿泊者にホテル到着予定時刻などを確認し、到着遅延などの変更があれば、速やかにホテルへ連絡する。その場合、ホテル側の担当者の氏名(フルネーム)と連絡内容を記録する。
     ↓
 ⑥ チェックイン時間経過後、当社スタッフがホテルフロントに電話し、宿泊者が無事チェックインしたことを確認する。

 上記は、すべて文書化、台帳綴じ込みにします。台帳は、メイン担当者とサブ担当者の二重管理体制を敷き、メイン担当者不在時にサブ担当者が代わりに担当します。

 中国人スタッフは、平均的に確認業務が不得意です。電話連絡などの場合、先方担当者の名前を、「請問貴姓」(お名前を伺ってよろしいでしょうか)という習慣がありません。反対に、お客様から電話がかかってきたときに、「我姓○」(私は、○と申します)と、進んで名乗る習慣もありません。

 特に上記の後者、お客様から電話をいただいたとき、進んで名乗ることは、責任感の現れであって、お客様の信頼を得るための好機ですが、あまり実践されていません。

 上司などの管理職にも責任があります。今日も、ホテル予約の件、当社スタッフに問い詰めると、

 「予約は、確かにしました。ホテルの担当者は、「没問題」と言いました」という答えが返ってきます。
 「あなたの仕事は、ホテルの予約ですが、ホテル予約の目的は、お客さんの宿泊です。お客さんがスムーズに宿泊できなければ、あなたの仕事の目標は、達成していないことになります。当然業務査定の減点対象になります」と、私は答えます。
中国人スタッフへの業務指示は、正確に出したかどうかを、上司の再考に値するものです。
 「張さん、ホテルの予約をしてください」というのは、不完全指示です。
 「張さん、○○さんがホテルに泊まるという目的で、予約をはじめとするすべての関連業務を遂行せよ。理由の如何を問わず、この目的が達成できなければ、あなたの業務の減点になります」というふうに、

 ① 業務目的の明示。
 ② 業務手段の列挙提示。
 ③ 可能な言い訳の事前排除。
 ④ 結果による賞罰適用の明示。

 と、法律条文式を取らなければなりません。『労働契約法』は、文書化、制度の完全化を求めています。確かに、煩雑でコストもかかりますが、結果的に、これを機に、緻密な制度を作って、従業員の責任所在の明確化、経営効率の向上につながれば、良いことではありませんか。

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