集団免疫できなかったのは、誰のせいだ

 『ワクチン接種率、7割の壁 若者向け啓発強化』、2021年7月28日付日本経済新聞(オンライン)の記事。

 二八法則で、2割の「打たない派」は、最後まで打たないだろう。さらに2割の中間派が2つに割れ、最終的にワクチン接種率は7割あたりで落ち着くだろう。7割の接種率で普通なら、なんとか集団免疫にたどり着くかもしれないが、コロナ、デルタ株ではそういうわけにはいかない(という仮説にする)。問題は感染遮断できなかったのは、誰のせいかということだ。

 ① ワクチンの問題=たとえ打たない派の3割の人が打ったとしても、状況はさほど変わらない。
 ② 打たない人の問題=3割の人が打たなかったから、疫病が終息しなかった(打ったら、疫病が終わっていた)。

 日経新聞の記事にいわく「7割の壁」というのは、明らかに上記②を前提にし、つまり3割を問題視しているわけだ。記事見出しの「若者向け啓発強化」も、この文脈に基づいている。①を1つの仮説として明らかにする勇気を持たない。持てない。持ったらまずいからだ。

 将来、仮に①が現実になったとしても、なかなか口にできないことだ。政府がもし①を素直に認めたら、「何で、早く言わないのかよ」と国民に怒られるので、言葉を濁すしかない。そこで、いちばん怖いのは、打った人たちが打たない人たちに矛先を向けることだ。国民の分断、対立が深まる。

 結局、失敗したり、不利益を被ったりすると、人間はかならず自分以外の「誰かのせい」にしたがる。

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