AI(人工知能)は、パターン化できる限り、人間のもつIQそしてEQの領域を超える。その未来はやってくる。私の職業である経営コンサルタントも、大淘汰の時代を迎える。
課題を特定し、仮説を打ち立て、MECEやロジックツリーといったツールを駆使し、論理的思考をもってフレームワークに取り組み、最適解や最善策を導き出すという仕事を俯瞰すると、そのほとんどがパターン化可能なIQ領域である。いってみれば、マッキンゼー的な域だ。
さらに、正しい結論から正しい行動に移り、期待された成果を出していくまでのプロセスに、生身の人間の感情や欲求も絡んでいるわけだから、これらをうまく誘導し、「やる勇気」だけでなく、「やめる勇気」(これがいちばん難しい)を引き出さなければならない。この辺は、ボスコン(ボストン・コンサルティング)的なEQ域に属する。
この2つの領域のほとんどが、パターン化が可能であるが故に、AIに取って代われる可能性が高い。すると、人間にしかできない(AIに取って代わられない)こととは何か。私は最近、ずっとこれを考えている。
AIによるパターン化可能な領域は一定しているが、これら複数の領域を掛け合わせて新たになにかを創り出す能力は、人間の領域ではないかと思う。経営コンサルタントの仕事の大部分がこうしてAIに取って代わられると、どんなクライアント企業に対しても、ほぼ同レベルの提案が行われる。この均一化から脱出するための唯一の手段は、これしかない。
つまり、前人未踏の新たなパターンを創り出すことだ。ここまでできれば、人間はAIのうえに立てる。言い換えれば、AIがパターン認識、常識の反復、常識の組み合わせに長けるが、人間は非常識の組み合わせを得意としなければならない。
経営コンサルタントの仕事は大きく分けると、調査・分析型、問題解決型、価値創造型という3つからなる(重なる部分がある)。調査・分析型のコンサルタントは、すでに没落し始めた。問題解決型は、これから数年以内に衰退・没落するだろう。生き残れるのは、価値創造型のなかの一部だけだ。
超・弱肉強食の時代。強を制するためには、強の弱点を見つけてそこを突くしかない。自身すら生き残れないコンサルタントなんて、コンサル失格だ。