対露経済制裁で困るのは誰?

 ロシアの輸出量を調べると、天然ガスは世界1位、石油2位、石炭3位、穀物生産量世界4位(2020年)。2018年度のロシアの小麦輸出量は4142万トンで世界1位。

 北朝鮮程度の国でさえ、あんなに制裁しても滅びなかったのに、ロシアのような資源大国、核保有軍事大国、中国にくっついている国を制裁しただけで白旗を上げると思っているのか?

 制裁で被害を受けるのは、誰?一目瞭然。まずは、制裁国の庶民だ。中国は、「露→中→日米欧」という中継貿易で馬鹿儲けするつもりだ。

 中国も制裁しちゃえ!やってみたらわかる。正義熱血な日本人の皆さんはそれで痛みを分かち合うつもりなら、結構なことだ。結局、被害をいちばん受けるのは底辺の人たちだ。

 小麦をやめてお米を食べようという声もあるが、そんな単純なことではない。農業用肥料、食肉用飼料の高騰で結果的に食料品全般の値上げにつながる。

 日本は制裁国としてロシアの「非友好国リスト(ブラックリスト)」に載っている。現時点の試算では年間8万円の生活費アップ。さらに中国制裁も始まったら、そんなもので済まない。まだ悪いニュースがある。円安が進んでいる。輸入国日本にとって泣き面に蜂。

 ただでさえ、コロナで経済がぼろぼろになっているのに、日本人は耐えられるのか。海外に住んでいる「傍観者」としてひやひやしているのだが……。ちなみに私が住んでいるマレーシアは対露中立で、ロシアの友好国家である(それでも値上げが始まっている)。

 制裁される側よりも、制裁する側が先に倒れそうだ。

【補筆】(2022年3月18日)

 3月18日付けのJBpressに、池田信夫氏の記事『「ベトナム化」するウクライナは日本経済の脅威~戦争が世界を分断してグローバル化が逆転する』が掲載された。2点ほど取り上げたい。

 1点目は、占領の分類。池田氏は占領統治を「日本型」(あっさり系短期転向型)「ベトナム型」(粘り系長期抗戦型)に分け、ウクライナをベトナム型とした。ウクライナの属性はともなく、台湾と日本に置き換えた場合、どうなるかを考えてみたい。台湾は「日本型」かそれとも「ベトナム型」か?そして日本は相変わらず従来の「日本型」か?

 2点目は、対露経済制裁の長期化に伴う日本の受ける影響。日本のエネルギー脆弱性、円安、そして何よりも中露のブロック化によって制裁が困難になることだ。池田氏は「日系企業が中国から撤退すると、日本の製造業は壊滅する」と予測した。この辺は、私がすでに何回か繰り返してきた「RIC圏」(ロシア・インド・中国)問題とほぼ一致している。

 対中事業について、日本企業は早急に「プランB」を立てたほうがいい。

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