米国議員の台北詣で、民主主義ショーと優生学の関係

 またか。ペロシの訪台につづき、8月14日夜、第二陣の米国議員らが台湾を電撃訪問。

 ラブホデートの不倫男は往々にして「妻と離婚するから」と噓をつくが、しかし、アメ男は「正妻は1人しかいない。離婚もしない」と嘘をつかない。「台女」もまた「ラブホにきてくれただけでも感謝」と素直。さすがに不純な私は、呆れるばかりだ。

 ちょっと前までは「キエフ詣で」、今は「台北詣で」。いわゆる民主主義や自由を掲げる政治家の「定番電撃ツアー」。実質的な内容は空っぽ。武器のセールスがあったかもしれないが…。トランプだけが対中関税の引き上げ、サプライチェーンの移転など、実務をやっていた。

 米中の国境線は、第三列島線。習近平の長期戦略は第二列島線の突破にほかならない。第一列島線は既に崩壊しつつある。独裁者は長期戦略を考えるが、民主主義の指導者や政治家のほとんどは、目先の選挙、そのためのショーにしか興味がない。キエフ詣でも台北詣でも単なるショー。

 それもひとえに劇場が多くの観客で埋め尽くされているから、ショーが必要なのだ。ショーで儲かるのだ。満員御礼、民主主義の「ショービジネス」は観客がいてはじめて成立する。突き詰めると、需要あっての供給で、民衆に問題があるのだ。

 ショーは善と悪の役が登場する。日本人観客はどうも「中国悪・米国善」と刷り込まれているが、どっちも悪だ。米国は偽善だけにより悪質かもしれない。

 親日、反日。というのも善悪二極論。親日国家や親日国民と付き合うことは簡単。問題は反日。反日とは付き合うか絶交するか、付き合うならどう付き合うか。さらにいうと、親日は本物の親日か、反日はまた本物の反日か。そもそも親日と反日の線引きはどの辺か、グラデーションゾーンや相互転換はないか。経済的利益が絡んだらどう変わるか…。

 Don’t be naive!――日本人の幼稚性は特に多くの学術研究においても取り上げられている。親日反日論は1つの症例にすぎない。状況は改善できないものか?

 後天的には、教育の問題がある。ただ教育は産業であり、政治のツールになった以上、もはや抜本的な改革はできない。すると、先天的なところに目を向けざるを得ない――。馬鹿が少なく生まれ、賢人が多く生まれる。優生学を社会政策ないし国是に掲げることは、強い国家、強い民主主義を築き上げる上で欠かせない。シンガポールもそうやってきた。

 1983年8月のシンガポールのナショナル・デーの演説において、当時のリー・クアンユー首相は、知性と遺伝についての彼の信念、そしてシンガポールの社会政策にそれらが成す意味に確信をもつことをはっきり表明した。

 優生学は、知性遺伝の問題を科学的に研究する学問である。それを直ちに人権や差別に繋げること自体が知性的とはいえない。生まれつきに、基本的人権には差がなくても、能力に差がある

 人間には生まれつきの能力差がある。日本社会では、これがまず認められない。タブー扱いされている。能力差が現実として現れたとき、あらゆる人為的手段によってこれを糊塗しなければならない。社会人類学者の中根千枝氏がその名著『タテ社会の人間関係』(講談社現代新書)のなかでもはっきり指摘している(参照:『強肉弱食、不平等関係の逆転現象』)。

 社会が基準を後進に設定したら、もう終わりだ。

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