不動産投資には、「キャピタルゲイン」(売買差益)と「インカムゲイン」(家賃収入)という2通の儲け方がある。
前回の事例では、コンドミニアムの入居率を調べることで、家賃収入の期待値を特定する1つの方法を示した。デベロッパーや不動産仲介業者に入居率を聞いてもいいが、正確な実態を明かしてくれるとは限らない。彼たちの商売に有利な情報しか流してくれないのは、情報の非対称性である。
たとえば、クアラルンプール中心部のコンドミニアムの入居率がそれほど高くないということであれば、購入(投資)後の空室リスクと低家賃を覚悟しなければならない。現にクアラルンプールの賃貸料は全般的に安い。一部目玉が飛び出るほど安い物件があることも知っておくべきだ。
賃貸なら、まず誰に貸すかだ。外国人は、最低100万リンギット以上の高級物件しか買えない。一般の現地マレーシア人サラリーマンは、予算的に手の出ないクアラルンプール中心部の高級コンドには住まない。これらの高級コンドの借り手は主に外国人駐在員中心になる。では、マレーシアへの外資企業の進出は急激に増えるかというと、全く楽観視できない。
マレーシアの国土は、ベトナムとほぼ同じサイズだが、マレーシアの人口は3400万、しかしベトナムはその3倍にあたり1億に迫っている。経済基盤のレベルと成長のスピードを見ても、両国の差がわかる。つまり単純に言うと、同じ資金を持っていて、マレーシアとベトナムのどちら(の不動産)に投資したほうが効率がいいかというと、ある程度の結論が見えてくるだろう。
次回は、マレーシアの不動産はなかなか値上がりしない理由を解説しよう。