イポー食い倒れ日記(2)~点心の富山茶楼、飲食店のメーカー化

<前回>

 第1ラウンドは昼食、ホテルから徒歩3分の至近距離にある「富山茶楼」(フーサン)。いわゆる点心の有名店である。結論からいえば、可も不可もなく、まあこんな感じだろうってとこ。しかし、食通のグルメめぐりという次元からすれば、ハズレだ。

 このレベルの店はわざわざクアラルンプールから2時間以上もかけてやってくる価値はない。ちょっと断っておくが、決してこの店が悪いといっているのではない。個人的嗜好レベルでの話しだ。

 むしろ一般の日本人客のアテンドなら、私は絶対にこの店に連れて来るだろう。見栄えも立派だし、ある程度の清潔感もある。この辺は、翌朝に食べる「明閣」とは天と地の差がある。

 この店に踏み入れた時点で嫌な予感がした。それはレジと入口近くに山積みされる土産用の点心パックであった。商売っ気がありすぎ。客の動線をしっかり考えた商品のディスプレイだ。

 食べてみると、やはりそうだった。特にまずくもない味だが、量産化される品に特有の色気のなさが際立つ。点心に十分な美食ノウハウのない人には勘付かれることはないだろう。しかし、マニアックな私には分かる。

 職人の世界よりも商人の世界だ。

 1971年に創業された「富山茶楼」は現在従業員がすでに百名を超え、職能的にもマネジメント、マーケティングと生産に及んでいる。要するに失礼な言い方だが、レストランよりもメーカーと販社である。

 私は基本的に、2号店以上店舗を展開するレストランには行かない。フランチャイズはもってのほか。外食産業の標準化と拡張は一種の工業化として私が捉えているのであって、自分の消費者としての価値観に合致しない。

 職人には過剰な商売っ気は不要だ。無論私の場合、この店にはもういくことはない。

<次回>

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