インバウンド受難時代、深い闇に出口の光が見えず

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 ライダーズ・ロッジに3泊。宿泊客は立花家の1組だけという貸切宿泊になった。この小さな乗馬リゾートのメイン顧客層は、シンガポールからやってくる休暇客だった。乗馬を楽しみ週末の休暇を過ごすには、大変都合が良い。素晴らしい環境だし、料金的にもシンガポールよりはるかにリーズナブル。

 しかし、コロナで国境が遮断された。マレーシアとシンガポールの国境遮断は誰もが想定できなかった。そもそも住居や生活コストの安いジョホールバルに住み、橋を渡ってシンガポールに通勤する人もいるくらいだから、国境遮断はあり得ないことであって、まさに想定外だった。

 この時代に、「想定外」とか「未曾有」とかいっても何も始まらない。現に生じた出来事はしかも、数か月で常態回復できるかといったら、全く終息する気配すらない。マレーシアもRMCO活動制限令を年末まで延長したし、私自身も多くの仕事を失いながらも、今年はもう出国・海外出張が絶望的になった。

 では、2021年明ければ、状況が好転するかというと、これも怪しい。かなり怪しい。現状をみる限り、無理がある。来年に延期された東京オリンピックも断念せざるを得ないだろう。

 最近、各国は国内旅行を徐々に再開しているが、国境だけは封鎖されたまま。それはむしろ当然だと思う。そこでインバウンドをメインにする観光業へのダメージが特に深刻。ただ終わらない疫病はない。いずれコロナは終息する。終息すれば、海外からの観光客も戻ってくるだろう。問題はいつかだ。この空白期間をどうやりくりするかだ。

 かといって、国内観光業が盛り上がるかというと、必ずしもそうではない。経済の低迷や失業の増大によって消費意欲が低下し、旅行どころではない。そういう事情もあるだろう。6月から私はマレーシア国内での取材を続けてきたが、未だ深い闇に出口の光が見えていない。

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