マレー半島北部の旅(3)~香りへのこだわり、薪焙煎の安東コーヒー工場

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 タイピンにはマレーシア最古のコーヒー工場がある。

 1933年創業の「安東(アントン)コーヒー」は、華人経営の炭火コーヒーとして有名だ。今時ほとんどのメーカーは量産のためガスを使用しているが、安東は相変わらず薪を燃料とする伝統的な焙煎方法にこだわっているという。

 大量生産・大量消費の時代、農業の工業化が進んでいる。新しい技術や設備、生産工程がどんどん開発されても、それらはあくまでも量産という経済的合理性を目的とする。

 私は食べ物や飲み物を、「工業度」と「農業度」を独自評価し、なるべく工業度の低いもの、農業度の高いものを選ぶようにしている。マレーシアには農業度の高い産品が多く、最高だ。

 工場見学を終え、安東コーヒーを大量購入し、車に積んでタイピンを出発する。

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