上海(12)~中国人の躍進ぶり、いよいよ日本人が見下される時代か

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 上海滞在中は、中華料理を中心にいろいろと店を回ってみた。一昔は日本料理が比較的に高かったが、今は中華もずいぶん値上がりして変わらない価格設定になっている。職人の腕も上がり、香港やシンガポールと同レベルかそれ以上のレベルに達しているように思える。

上海・花園飯店「白玉蘭」でランチ

 地元のシェフは、食材の扱いも丁寧で調理法も洗練されている。創意工夫も随所見られる。何もかも外国人や香港人、台湾人の指導なしでできない時代がとっくに終わっている。中国本土の「自立時代」の到来をはっきり感じさせる。もちろん、何も料理や飲食業界だけに限った話ではないけれど。

上海・花園飯店「白玉蘭」の一品

 リサーチを兼ねて数店の日本料理店でも食事をし、今度は、客側の変化を中心に調べてみた。以前は日本人だらけだったが、今は日本人客が1割を切っているという店も珍しくない。しかも、スタッフに聞いたら、客単価が全然違う。日本人はあまり消費しない。中国の外食消費市場は、客単価が3000円やら5000円やらで揉める日本とは大違い。

 上海某日本料理店店主の話――。

 「日系企業の中国人社員は、日本人上司と一緒に来店する際には、『思いやり』で手頃で安い料理しか注文しないが、プライベートで来店すると、トロやらウニやらどーんと何倍もの客単価で贅を尽くす」

 中国人部下が日本人上司よりもはるかにお金持ちである時代だ。お金が全てではないが、資本主義社会の基本はお金なのだ。ちなみにその彼・彼女たちは決して、日系企業の給料だけでお金持ちになったわけではない。副業というよりも家族事業や不動産運用で資産家になったわけだ。

 某大手日系企業の中国人部長と会食して話を聞いていると、日本人上司を見下しているように感じた――「一言でいうと、屁股指揮脳袋(中国語:お尻が脳を指揮する)。日本人経営者や幹部は経営について何も知らないし、戦略も何もない」と。特に管理畑の経験も知識もない日本人が、いきなり海外、中国の経営現場に行かされて過酷だ。長年の経験を持つ現地人部下に見下されるのは無理もない。

 痛々しい経営現場である。

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