上海出張(4)〜茅台アイスクリームは美味しいか?

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 あの有名な茅台酒はアイスクリームを売り出したところ、大変高価にもかかわらず、人気が高く、売れているという話を聞き付けて一度体験しようと思った。たまたま通り掛かった淮海中路の一等地に茅台専売店を見つけたので、早速入ってみた。売っていた。確かに高い。1個66元(約1300円)もする。広い店内なのに、テーブルも椅子もない。その場では食べさせてくれない。店内を汚されたくないからだろう。ブランドイメージが大事だ。

 良かったことに泊まっているオークラ花園飯店(ガーデンホテル)までは徒歩10分もしないので、溶けないうちに部屋で食べられるのだ。さあ、肝心な味は?正直、美味しいと思えない。少なくとも、値段だけハーゲンダッツの倍以上もする茅台アイスクリームは、ハーゲンダッツの倍ほどの美味しさは感じられない。僅かな酒香はあるものの、味はそれほど洗練されたものでなく、ハーゲンダッツの方が良い。

 そもそも、美味しい美味しくないという議論は、ナンセンス。ブランドで消費ステータスの体現に主眼が置かれる商品であるから、商品自体の「機能的価値」に論点を置くべきではない。最初からわかっていたのだが、好奇心でどうしても食べてみたかった。芳醇な茅台香りを期待しても、それはない。アイスクリームでアルコール摂取して車を運転していいかと店員に聞いてみたら、食後30分を置いて運転してくださいとアドバイスされる。

淮海中路にある茅台専売店

 商品の価値は、本来の機能(用途)が持つ価値とそれを超えた価値から構成される。高級品になればなるほど機能的価値の占める比率が低下する。残りの非機能的価値は、消費過程を通じて得られる満足感に現れる。アイスクリームという商品は非機能的価値を最大どのくらい出せるのか、よくわからない。特に別のブランド品であるハーゲンダッツが比較対象になりやすいので、消費者はどう判断するかだ。

 茅台酒は、白酒の主力消費者層の高齢化に伴い、マーケットの縮小という難局を打開しなければならない。そこで若年層を取り込もうと、アイスクリーム市場に参入したのだろう。これからどう展開するか、注目される。この価格設定では、ハーゲンダッツ同様のリピーターを獲得できるか、非常に微妙である。

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