階級社会の真実(6)~記号よりも機能、立花流の消費行動

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 では、立花さん、あなたはどのような消費行動を取っているのかと聞かれた。私の場合、基本的にあらゆる消費行動は、実用機能性の一点に絞る。それ以上のこと、自分がどの集団に所属するか、そうした記号を一切考えない。「衣・食・住・移動」に分けて点検してみたい。

 まず、「衣」。私は昔から服装に無頓着で「見られ方」を気にしない人だった。マレーシアに移住してからは、南国生活のため年間数枚のTシャツと短パンしか新調しない。コロナでリモートワークになった以上、スーツや革靴も必要なくなったので、衣服コストは最小限に抑えられており、年間1万円もかからない。

 次に、「食」。これも40代後半から「B級ファン」になってしまったので、和牛やら懐石やらフレンチやらその類のものには興味がなく、とにかく安くて旨いものに執着し、庶民の味に情熱を燃やしている。取引先など他人から招待される場合でも、高級寿司や鉄板焼きと聞いたところ、事情を説明して居酒屋への変更を求めたりする。

 「飲」も同様。最近はタイウィスキーに凝っている。プーケットから買って帰ってきた、1本450バーツ(約1700円)のローカルウィスキー。味はそれほど洗練されていないが、コスパは最高。味は悪くないので、現地ではコーラ割りが主流だが、私はストレートで飲んでいる。ワインも普段2000~3000円の安物だけで、高級品は一切飲まない。

 さらに「住」。これまで住んできた賃貸住宅をやめ、クアラルンプール郊外に住宅を購入し、今はマイホームに住んでいる。いつも取引している銀行から住宅ローンを薦められ、当時金利も安かったので、契約したものの、後日金利の急上昇を受け、結局3か月で繰り上げ全額返済してしまった。

 よく「プール付き豪邸」と言われるが、表面的な部分だけ切り取られているのではないかと。一定の快適性という機能面の考慮は確かにある。何よりも、自宅、事務所、スポーツジムという3大機能を集約する主目的があったから。例えば、フィットネスクラブ通いの場合、毎月の会員費だけでなく、往復の時間コストも5年や10年単位で計算しないといけない。

 最後に「移動」。私がメルセデス・ベンツに乗っているのは、決して高級車という記号ではなく、その機能的な安全性にある。以前、台湾で酷い交通事故に遭遇し、たまたま当時乗っていたのはベンツだったので、それで助かり、何とか無傷で済んだ。さらにいうと、今の車に満足している。買い替えるつもりはなく、30年は乗りたいと思っている。ニューモデルには興味がない。

 私は基本的に、「記号」を排除する消費行動に徹している。搾取されたくないからだ。

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