イポー食い倒れ日記(9)~賢い!「茶室」のテナント運営モデル

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 9月15日(土)、イポー滞在3日目、最終日。朝から第6ラウンドに入る。テーマは、ストリートフードの朝食。場所はホテルから徒歩3分の「華南茶室」(Kafe Wah Nam)。

 「茶」と付く店名をカテゴリー分けすると、こうなる――。まず、「茶楼」。これは基本的に完全自社経営形態が取られている。点心や料理の製作からお茶のサービスまですべて自社が行って完結する。次に「茶室」「茶餐室」となると、一部外注というか、テナント運営となるケースが増える。ここ「華南茶室」も典型的な後者である。

 店のレイアウト構造が面白い。客席が内側にあって、路面沿いの外周には、複数の屋台ブースで埋められている。これらの多種多様な屋台ブースは看板役を引き受けている。屋台ブースの経営者も異なり、「茶室」とある種のテナント契約らしきものを結び、各自営業しているわけだ。

 場所の貸し出しということだ。店舗オーナーは、私が観察する限り、飲料サービスを提供するケースが多い。いわゆる一番楽で利益率の高い「水商売」に特化するというビジネスモデルだ。なかなか賢い商法ではないか。レストラン経営だが、料理を外注、飲料のみ自営という形態である。

 フードコートのミニ版といったところだ。店主はおそらく店舗の所有者であるから、毎月決まったテナント料が入るだけでなく、飲料販売の収入も恒常的に得られる。安定した経営形態ではないか。

 特に注目したいのは、固定費比率の低いところだ。自己所有の店舗であって、家賃コストが発生しない。さらにテナント運営のため、自社社員を雇用する必要がなく(飲料販売なら店主の一族でもまかなえる)、人件費という固定費はほぼゼロに近い。賃金に付随する社会保険コストなども省ける。

 固定費が低ければ、経営リスクが低減する。極端の話、固定費がゼロに近い状態なら、客がまったく来なくても経営難に陥ることはない。なんと羨ましいことだ。

 さらに、テナントである屋台ブースの間に客争奪という内部競争メカニズムが成立するため、店主の管理監督が不要となる。一般企業なら社員がサボらないように常に管理しないといけないが、この手の店ではそうした労務管理の手間もかからない。要するに私のような人事コンサルタントもまったく不要である。

 「茶室」のテナント運営。この時代にもっとも相応しいビジネスモデルなのかもしれない。

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