メディカル・ヘルスケアのIoTやAI、マレーシアで大きな可能性を見出す

 11月17日(日)、半月に渡る長い出張から帰馬の翌晩、クアラルンプール市内の焼肉店で会食。相手は私のロイター時代の元上司で、現在マレーシア人工知能・ロボット(MyAI.R)協会副会長のヨン・チョン・スン氏。昨今マレーシアが国策として掲げているメディカルAI化にかかわる諸課題や事業方向性について、ヨン氏と意見交換。

 マレーシアの国家戦略とはいえ、私から見れば、事業化した段階はその射程は遙かに拡張性をもつことになる。特に、ハラール医療ほど有望な市場はない、と私は見ている。近場にはインドネシアという巨大ハラール市場がある。さらに中東や欧米諸国のハラール市場に目を向けると眩しくなるほどだ。

 医療格差の解消といっても、IoTやAIによって、はるかにその「予定」範囲を超え、国境を超える遠隔医療が可能になる。セカンドオピニオンやサードオピニオンのグローバル化が医療業界の競争を激しくさせ、医師や病院の淘汰を進めるだけでなく、医療コスト・社会保障コストの削減や合理化といった社会的課題に取り組む余地をも劇的に広げる。

 生体データの持続取得とワイヤレス送信によって、動態的なメディカル管理が可能になり、ビッグデータは治療や新薬開発にのみならず、介護事業にも寄与する。高齢化時代に増えている孤独死の防止・シニア救急はいずれも持続的生体データのモニタリングに依存する。つまり、メディカルといえば対面しかないという伝統的概念が打破される。

 保険業界では、斬新な医療保険商品が生まれるだろう。大した病気がなくても病院に行ってしまうから、日本の健康保険は破綻する。医療はコストである。そのコストの削減に協力する者は保険料の減額優遇を受けられる。そうした新しい保険商品は必ずどんどん生まれる(自動車保険同様の無事故保険割引制度)。

 可能性は無限大である……。

 と、気がついたら、会食は2時間以上も続き、ずいぶん飲んで食べてしまった。将来は、きっと、人工知能が私の生体データ(体内アルコール度や塩分・カロリー摂取量、血圧など、そしてそのデータ間の相関性を描き出す飲酒係数)を根拠に警告アラームを発するだろう。あるいは強制的に勘定をさせられてしまうかもしれない。

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