『Webセミナー トヨタが崩壊する道~なぜ逃げ切れないのか?』アンケート回答

 たくさんのアンケート回答をいただき、ありがとうございました。都合上、全数回答できず、類似質問やテーマを1つに集約したり、一部抜粋したりすることがありますので、ご了承ください。


■ 日本の国として、世界への戦略をどうやっていけばいいのか?立花総理大臣ならどうするのか?をお伺いしてみたいです。「経済」「外交」「社会インフラ」などの観点で、3部作くらいでいかがでしょうか?トランプ大統領並みの戦略ができてきそうな気がして楽しみです。
【回答】大変重要な問いですが、残念ながらいずれの問いも成立しません。
 まず、日本人は戦略を持ちません。戦略が不得意というよりも、「空気」で動く民族ですから、戦略が不要で邪魔です。ですから、戦略次元にたどりません。
 次に、私が総理大臣だったらどうするかという問いですが、その前提は成立しません。私のようなズケズケものをいう人は総理大臣どころか、政治家、地方議員にすらなれません。いや、サラリーマンとして出世も望めません。戦略構築してはいけないところで戦略をつくることは無謀です。勉強会でいったように、これは「技術型課題」以前に、乗り越えられない「適応型課題」です。
 最後に、申し上げます。仰るとおり、トランプ大統領は戦略家で、基本的に国益立場に立っていました。だから、再選に負けたのです。彼は「技術型課題」を見事にこなしてほぼ満点を取りましたが、「適応型課題」では見事に落第しました。あまりにも鮮烈なコントラストでした。


■ ① このままでは日本企業が世界でプレゼンスを示し続けることはできないと考えており、「トヨタが崩壊する」というテーマについて、改めて日本企業の中で何が問題になっているのか関心があったため、今回聴講させていただきました。その中では特に、「技術では差を出しにくいので人が大切であること」「『(働かない)オジサン』という表現で画一的にグルーピングされてしまうこと」「年齢や人間の問題ではなくメカニズム(制度や仕組み)に本質があること」などに、とても共感しました。
 ② ワクチン接種ではありませんが、悪いシナリオに備えて心の準備をしておくことの重要性を改めて感じました。また、やはり競争力の源泉は人であり、適切なメカニズムで運営されていることが大切なことを再認識しました。
 ③ 「働かないオジサン」真の意味で、現在の「オジサン」と言われる世代と会社のWIN-WINな関係構築が必要と考えます。そのためには、世間に通じるスキルと経験を構築するシステムも柔軟に考える必要があると思いました。
 現在の職場ではないのですが、「オジサン」という表現だけに反応して「オジサン」は悪で「若者と女性」は善としたり、「頑張った人が報われる客観性が高い人事制度を作った」と説明しつつ、結果の数字だけしか判断しない場合や数字は出していても人物が気に入らないからと主観的評価をしている事例をいくつか見てきました。そのような評価者がいることで、現場がとてもしらけたりモチベーションを下げている現実を目の当たりにし、上級幹部の質が会社運営の核心と感じています。今回のご講演も自分の感覚ととても共通する部分が多く、大変参考になりました。
 (今後の勉強会で取り上げてほしいテーマ)今後の生き残りを考えた場合に、社会で役割を果たすための現実的な世代別生存戦略を知りたいです。
【回答】本質的な総括、ありがとうございました。2つのポイントだけ触れさせてください。
 まず、「オジサン」は悪で「若者と女性」を善とする。これがまさに、ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)です。イデオロギーという意味での左右に関係なく、現在の社会は符号化が進んでいる。何でも単純化して思考停止に陥れる。ここでは主語を抜いたのですが、その主体は主に2つのグループから構成されています。1つは、ポリコレの符号化によって利益を得るグループ、もう1つは意識せずに自分たちもすでに思考停止に陥ったグループです。後者のグループの感染力が絶大で、前者のグループにまんまと利用されている。
 次に、「『頑張った人が報われる客観性が高い人事制度を作った』と説明しつつ、結果の数字だけしか判断しない場合や数字は出していても人物が気に入らないからと主観的評価をしている」というくだり。これも2つのポイントがあります。1つ目は、「頑張った」とは、過程評価なのか、成果評価なのかです。2つ目は、仰る「数字」即ち「成果」を出したとしても好き嫌いで人物を判断しまう、なぜそうなるのかです。これもひとえに、制度そのものがちゃんとなっているかどうかという「技術型課題」の他に、人間の利害関係や主観的判断(個人の価値観など)といった「適応型課題」が加味された結果なのだと思います。


■ ① 日本人はなぜ、パラダイムシフト(チェンジ)できないのでしょうか。
 ② トヨタは、優秀な人材が多いと言われていますが、はたしてそうなのでしょうか?私はそうでもあるし、そうでないところもあると思っています。お利口なので、方針に異論を唱えずあえて本心を明かさない。所謂、面従腹背がうまい人が多いと思います。
 ③ トヨタは製造現場が強すぎる。効率のみ重視、乾いたタオルをまだ絞る。そんなことばかりやっていては変化に対応できる組織にはならないと思います。真剣に未来を考えるべきで、技術型課題ばかりやっていていてはダメで、適応型課題に重点を置くべきだということが学べました。
【回答】① 日本社会の「変化」は、人為的に起こすもの(能動的)でなく、「空気」に従うもの(受動的)です。変化の責任が個人ベースで取れないからです。空気が変わり、変化に対応する意思決定を集団的に行います。すると、個人あたりの責任は限りなくゼロに近づきます。農耕社会故の個人ベースの意思決定は合理性を有していない、という背景があります。
 ② 「面従腹背」現象は、悪という論理的裁断をするべきでなく、むしろ個々人が組織のなかでサバイバルしていくうえで必要なスキルです。そうした中性的解釈が妥当ではないかと思います。
 ③ 「適応型課題に取り組むべきだ」という課題それ自体が、重大な「適応型課題」です。


■ 変われない日本企業。今後の日本は、安くなる(外資に買われる)道を辿るしかないのでしょうか?
【回答】変われないのは、日本企業ではなく、日本人です。このままだと、今後の日本は買われ続けるでしょう。「安さ」を善とする日本人は、自分の給料も「安さ」の1項目であることを看過している。最終的に、多くの日本企業が外資に買われれます。外資が日本企業の経営に当たった途端に大量リストラを行い、生産性を上げ、利益を上げ、株価を上げ、大儲けします。やられるのは日本人です。


■ マスコミも国のGDP比較だけで1人あたりGDPを報道しません。立花さんには是非現状を説いていただき日本人の意識改革を導き、ひいては経済が上向くように指導していただきたいと思います。
【回答】私は指導できる立場にありません。するつもりもありません。勉強会でも話したように、意識改革は「適応型課題」です。日本人の意識改革となると、それだけ桁違いの大きなスケールの適応型課題に取り組む力を、私は持ち合わせていません。


■ 今回のセミナーを通じてこのままでは日本は自らの基底とするところに気づいて「いま真に求められる変化」を起こすことなくどん底まで落ちていくのではないかという思いを強く持たざるを得なかった。
【回答】外圧(外部からやってくる衝撃)によって一度破滅的な挫折(太平洋戦争敗戦のような挫折)に遭遇して、「焦土」から立ち上がる(リセット)ことを期待しています。


■ 「経路依存性」。確かにここまでさまざまな制度がガチガチに固められてしまっては、日本人自らがそれをぶち壊すのは非常に難しく、日本社会が変わるには、もはや外圧(外国人経営者を含む)に頼るしかないのでしょうか?折しも「グレート・リセット」の時代。一度、日本社会は行き着く所まで行き着いて、ガラガラポンした方がいいのかもしれません。
【回答】上の質問の回答になります。その通りです。


■ 変わらなければいけないとしている人たちがどれだけ本気で言っているのか?
【回答】言うことを聞くよりも、やることをみる。それに尽きる。例外として、「変わらなければいけない」を叫ぶことを仕事とする人たちもいますから、彼たちはそれでやっていることになります。


■ ベトナムの今後の経済成長、政策、市場の行方を知りたい。
【回答】あなた(貴社)はベトナムの行方に左右されているのでしょうか?VUCA(先行きが不透明で将来の予測が困難な状態)時代ですから、予測は大きな意味をなしません。反脆弱性、国家とのデカップリングが求められています。どんな条件下でもサバイバルできる基礎体力があれば、ベトナムがどうなろうと、関係ありません。さらにいうと、あらゆる新興国の成長、そのメカニズムだけを把握すれば、「Next」を見据えることになりましょう。


■ 従業員の生産性を上げるか、さもなくば、リストラが避けられないこともよくわかりました。
【回答】もう1つできることがあります。神様に祈ること。


■ 「適応型課題」を詳しく知りたい。
【回答】次回の勉強会で「適応型課題」を中心に展開します。


■ 従業員の不正行為についての事例とその対応を知りたい。
【回答】勉強会で話したように、「現象」と「課題」の違いを知って、そこからアプローチをかけて本当の課題にたどり着きます。従業員の不正行為はあくまでも「現象」にすぎません。「なぜ、不正行為を行うのか」という問い(1回で解答が出ないかもしれないが、何回も「なぜ」の問いを繰り返す)から、「課題」探しの旅が始まります。その旅には「適応型課題」に遭遇する可能性が大きい、そこで潰されたら、真の課題に到達できません。


■ 働かないオジサンに関するお話で、役職定年の話がありました。ふと思ったのですが、役職定年というのは、いつ頃から日本の企業が採用するようになったのでしょうか。 自分自身、外部労働市場での価値も少ない中、新しい働き方に適応していくために行動しないと、とんでもない状況になると感じている一方、会社にも恩を感じながら行動する自分に矛盾を感じています。立花さんの話を聞けば聞くほど、現実を知り、苦しくなっていきます。自分が何を悩んでいるかうまく説明できませんが、先日「解雇は不要、この魔法の杖さえあれば」というセミナーで話が上がった、木下富美子都議。もちろん本人に非がありますが、立花さんの話を聞いて、ポジションにしがみ付かなければいけない理由もわかります。会社を信じ仕事を進めたい一方、自分のことも考えたい自分がいます。うまく言えませんが、実力が無ければ、自分の考えたことを実行することに関して躊躇してしまう人が適応課題を生み出しているのではないでしょうか?今回のトヨタが崩壊する理由は、おそらく所属する自分の企業も同じ現象になっていると、自分を見ながら思っています。
【回答】「外部労働市場での価値が少ない」という自省は、すでに1つの「適応型課題」を乗り越えました。その一歩はとても大事なのです。2番目の課題、会社に「恩」を感じているということですが、その「恩」の本質とは何かを考えましょう。会社が「守ってくれた恩」でしょうか?それとも「将来を保障してくれた恩」でしょうか?その「恩」に副作用はなかったでしょうか。あなたの生きる力を奪っていないでしょうか。今一度点検しましょう。そして、3番目、「会社を信じる」という言及がありました。「信頼」とは何かを考えましょう。会社に捨てられても生き残る力をもっているかという問いです。その力をもっていない人のいわゆる「会社を信じる」とは、片思いに過ぎません。「信頼」とは、裏切られても捨てられても困らない、そうした余裕をもった人間がはじめて口にできる貴重な言葉なのです。


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