北海道(8)~千歳の夜、1日4食の非常事態宣言<後半>

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 1日1食の私は、朝食と昼食の両方を食べたら、夜までなかなか満腹感が消えない。夕方18時過ぎ、ようやく胃袋が受付を再開してくれた。早速千歳の街に繰り出す。1軒目は、牡蠣・海鮮居酒屋「ととや」。

 北海道は基本的に素材系の一本。朝から晩までただひたすらに刺身を食べ続けても飽きない。ノルウェーやフィンランド、デンマークなどの北欧は、場所柄同じように魚がたくさん水揚げされているが、やはり和食の足元にも及ばない。正直に言って、味気ない。

 本日のテーマは厚岸。牡蠣専門店だけに、厚岸産の牡蠣は生き生きしている。牡蠣は身が乳白色で、まるで牛乳のように非常に多くの栄養素を含んでいることからよく「海のミルク」といわれる。本当にミルク感満点なのだ。この店は色々な牡蠣料理を用意してくれているが、最終的にやはり生牡蠣が一番と思った。

 牡蠣に白ワインやシャンパンが合うと言われている。特に「生牡蠣にはシャブリ」という言葉もある。シャブリの畑からは大昔に海の底だった時代の貝の化石が出てくるから、地殻が生んだ究極の「磯風味」系のマリアージュだというのが根拠とされている。その真偽はどうであれ、私個人的にやはり理屈抜きに、日本酒を好む(その話は別途詳述する)。

 見た目ではホッケだが、実にニシンだった。フェイスブックに投稿すると、道民の友人にも「ホッケ」に見間違えられたこのニシンは、化け物だ。食べて飲んで、気が付いたらもう20時を回っている。そろそろ引き上げて次の店にはしごしなければならない。

ホッケに見えてもニシンだ

 「ととや」から徒歩5分のところに、「やまじん」というジンギスカン店がある。事前に予約の電話を入れると、満席と言われたが、とにかく行ってみようと、実際に20時30分に入店すると、カウンターに数席が空いていた。良かった、良かった。1日1食の私はいよいよ、ここで本日の4食目にたどり着く。

 北海道といえばジンギスカン。なぜだろうか。色々な説もあるが、私はあまり気にしない。あれだけ海鮮を食べ尽くした後、北海道旅行の締めくくりには一食だけなら、肉が良い。しかも、羊肉。と、体が理屈抜きにそう欲しがってしまうのだ。さらに日本酒を飲み尽くした後に、ジンギスカンには焼酎が良い。まさに神様の采配である。

 焼く前には、肉も素材系で生をいただきたい。そんな感じでジンギスカンにたどり着いたときは、すでに酔いが回って写真を撮ることすら忘れてしまったのだった。立花聡は、過食による消化機能不全で死去。――死に方が選べるなら、これに尽きる。

 北海道万歳。ご馳走様でした。

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